ミツメ 若い彼らの大人の音楽
ミツメのつくる音楽はどこか大人を感じさせる。
大人。
タイトルで言い切った手前半ば引っ込みがつかなくなってはいる所だが、何を以って大人かはこれを今書いている僕にとってさえも定かではない。
しかしとにかく、良い意味で、彼らの音楽は年に似合わない落ち着きをみせてくれる。
今日はそんな彼らについてだ。
聴くのにあたって身構えずに済む音楽は、最近の邦楽には珍しい。
ここ数年、もしくは十数年に渡って流行りの"音を詰め込んで凝縮したような濃い音楽"は良くも悪くも聴く前に一度身構えないと聴くことができない。体力を使う。
僕は、この状況の中で争いから降り、自分たちのやりたいことをただやることが、いかに困難なことか、いかに勇気が必要なことか、と思ってしまうが
しかし彼らはまるでそんな事はまったく気にしてないかのようにシーンの波の押し引きを遠くからぼうっと眺めているようにさえ見える。
海外のインディーロックの影響を強く感じるが、それにしても展開やフレーズのセンスからは彼らの色が上手く出ているし、なにより邦楽のポップミュージックの空気を上手く共存させている点は、ある種ミツメ独自の発明と言ってもいいだろう。
MVのセンスも90年代のドラマのようだ。
いや、というよりそのオマージュだろう。
大多数を占める若いリスナーたちを奪い合う為に、どうしてもキャッチーの規格に沿って戦うことを強いられたバンドたちがあくせくとしているのを横目に、ミツメは知らぬ顔だ。
変な話だが、音楽が自由だ。
こんな音楽なら、ずっと聴いていたい。