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2016/07/16

記事 邦楽ロック

シンプル和風ロックDOESを語る

先日、DOES(ドーズ)の新曲「KNOW KNOW KNOW」が人気アニメ『銀魂』のOPとして初公開された。これまでDOESは同作品に「修羅」,「曇天」,「バクチ・ダンサー」,「僕たちの季節」と名曲を提供し続け、今回の曲も期待を裏切らない出来栄えになっている。是非、シングルが発売される3月2日までアニメをチェックして楽しもう!

今回は『銀魂』タイアップ曲が収録されたDOESのオリジナルアルバム3枚『SUBTERRANEAN ROMANCE』,『The World's Edge』,『MODERN AGE』を再見し、DOESの知られざる一面にスポットライトを当てよう。

『SUBTERRANEAN ROMANCE』

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初のヒット曲「修羅」が収録された2ndアルバムだ。1stアルバム『NEWOLD』は3ピースアレンジだけでなく曲によってはキーボードやチェロを導入しており、新人でありながらも成熟しているような印象を受ける。しかし、この2ndはバンド単体のシンプルなサウンドに方向性をシフトした。ギターヴォーカル氏原ワタルは後に『theLIVE Music Magazine』内で磯谷直史(THE ANDS)と対談した際、1stから2ndで音が変化したことを言及され「バンド(の音)を削ぎ落としたっていうのかな。ストイックにいっちゃったんだよね。」と答えている。

確かに言ったよね
「明日は来る」って
なんでさ
どうにもならない夜
なんでさ

Track05「ブラックホール・シンドローム」より一部引用

1st,2nd期のDOESは恋にまつわる歌が多い。例えば、1st『NEWOLD』のラスト「雨の日曜日」は、雨の街並みに佇みまだ来ない”君”をゆっくりと待つ場面で終わる。そして、2ndの冒頭「シンクロニズム」も、海岸で”君”を待った末に来ないのではないかと直感するのだ(しかし、そのような二人のズレが合わさる瞬間は時々あるんだ!と歌う)。1stは比較的まだ幸せそうだが、2ndは何時も”君”を待っているけど来ないし色々と物事が上手く行かなくて一人寂しい・・・そんな悶々とした少年の姿が伺える。

季節を止めて
君はいつも陽気な顔で
逃げたよ

Track11「三月」より一部引用

このように、”君”は何の悪気もなく何処か遠くへ行ってしまうのだ。骨太・男らしいイメージを持つDOESの繊細・か弱い部分が垣間見れる。だが、「サブタレニアン・ベイビー・ブルース」,「バスに乗って」等の曲には楽しい青春を送っているような高揚感も存在するので、是非10代の読者の方々に聞いて欲しい良盤である。

 

『The World's Edge』

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収録シングル「曇天」が週刊オリコンチャートトップ3を獲得し、これまでよりも多くのリスナーを引き寄せ注目を浴びた3rd。前作と同じく3ピースサウンドを全うしているが、音が明らかに分厚くなっている。これはマスタリングエンジニアに巨匠ジョージ・マリノ氏(Weezer,Coldplay,Arctic Monkeys等多くの有名アーティストを担当、奇しくも2012年逝去)を起用している点が大きい。そして、代表曲「曇天」をアルバム1曲目に配置しているところから、バンド側の作品に対する絶対的な自信も感じられるはずだ。

アルバム4曲目に収録されたメタル風味の一曲。数あるDOESの曲で最も「ダサい」と「カッコいい」が分かれる曲だと思われる。印象的なフレーズが盛り沢山であり、特に2分02秒から加速していくグルーヴは耳を奪われずにいられない。この曲の次に回ってくる5曲目は、今なおライブで演奏されることが多いダンスナンバー「レイジー・ベイビー」(リンク先はニコニコ動画)だ。『The World's Edge』は全体的にシリアスな雰囲気が伴っておりDOES特有のユルさや気怠さに魅力を感じる層には少しばかり取っ付き辛さを持っているが、大胆さや力強さを焦点とすれば、最高傑作として挙げられることも多い。何れにせよ、DOESを語る上で間違いなく外せないアルバムだ。

 

『MODERN AGE』

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大ヒット曲「バクチ・ダンサー」及び「僕たちの季節」で遂にその存在を世に知らしめたDOES。4thアルバムはVAMPIRE WEEKEND,MGMT等のUSインディーに影響を受けながら、シンセサイザー、プログラミング、チューブラベル、タンバリン他数々の楽器を12曲に落とし込んだ意欲作だ。「DOES第二章」と多くの音楽メディアで語られる。

このアルバムツアーからサポートギターを加え4ピース体制のライブが始まる。また、ツアーのセットリストの中には洋楽のカバーThe Strokes「The Modern Age」を披露しているところから、遊び心や余裕も垣間見れる。2nd,3rdの曲を通して有数のライブバンドに成長し、シングル「バクチ・ダンサー」で大ブレイクを果たし、ベストアルバム『SINGLES』でキャリアを一区切りした結果、DOESは今までにない自由さを手に入れた。元々、ドラム森田ケーサクが前作『The World's Edge』のツアー終了後に一時脱退したドン底の時期から制作された事実を考えれば、まさに奇跡的と言える。それ故、ラストトラック「波に乗って」が生み出す感動は一入身に染みる。

 

祝メジャーデビュー10周年!

2006年に1stシングル『明日は来るのか』でデビューした頃には、DOESは既にメンバーがアラサー(氏原ワタル29歳、赤塚ヤスシ28歳、森田ケーサク26歳)になる遅咲きのバンドだった。

しかし、『銀魂』を始め『クローズZERO II』の「トーチ・ライター」,『宇宙兄弟』の「夢見る世界」,『NARUTO』の「紅蓮」等とアニメ・映画作品の世界観に沿った名曲を提供し、常に新たなファンを生み出し続けた。そして、シンプルかつクールな曲の数々が学生バンドマンにコピーされ今なお文化祭やライブハウスで演奏されている(後、カラオケでも比較的歌いやすい)。まさに、彼らはロックバンドとして理想の到達点の一つだろう。

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そんなDOESが今年メジャーデビュー10周年を迎える。まだ多くのことは明らかになっていないが、きっと賑やかなアニバーサリー・イヤーとなるはずだ。これをきっかけに聴いてみようと思ったら、今回紹介した3つのアルバムをお勧めする。しかし、どうしても全部を揃えるのは難しいなら、「バクチ・ダンサー」までのシングルが収録されたベストアルバム『SINGLES』或いは5枚のアルバム+1枚のミニアルバムの再現ライブが収録されたDVD『TRACE THE SIX』のどちらかがあれば、すぐにDOESの魅力を知ることが出来るぞ。

是非、彼らの記念すべき年を一緒に盛り上がり楽しもう!ではでは次回をお楽しみに。

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