KANA-BOONの名前を見なくなった原因は、顔。
ある日知人と飲んでいると、こんなことを訊かれた。
「KANA-BOONって、今何してるの?」
知らねえよ。元カノか俺は。
いやでも「人気失速」とか言ってしまうと直にマイナスイメージがついてしまうのであまり口に出したくないのだけれど、それにしてもKANA-BOONの名前見なくなりましたよね。
一時の人気なんかもう天下人と呼んで差支えないほど。下北沢中のインディーズバンドマンを集めても敵わないほどの動員を誇る超人気バンドだったわけで。ただバンドマン風に髪を伸ばしているだけで飲み屋で酔っぱらったおっさんに「お兄ちゃんKANA-BOONみたいだね(笑)」みたいな。酷く乱暴な当てはめ、ステレオタイプの象徴にされるくらいには邦楽ロックバンドの頂点的存在だったんだけど。
新曲、聴きました?みなさん。聴いてないですよね。ストレートに良い曲なのに。何も、変わってないのに。
何も、変わって、ないのに。
そう何も変わってないんですよね。別に。急に路線変更して消滅するバンドはよくいるんですけど。そういうわけでもない。
同時期に売れたバンドたちは今も元気に活動中だし、リリースがあれば都度名前を聞く。でもKANA-BOONは、うーん。最近プロフィールに「KANA-BOON本命」みたいなこと書いてる人見かけないですしね。あれーーー。お前らあんだけ"ないものねだり"でラップだのダンスだの好き放題してたじゃん。恋ダンスで記憶が洗い流されちゃったのかな。鳩かよ記憶力がよ。
でもこの人気急落、明確に理由があると思うんです。
それを今回は考えていきたいと思います。宜しくどうぞ。
バンドに必要なのは2曲のキラーチューンと
売れる、ってたった3文字ばかしなのにバンド業界においては本当に難しいことで、日夜少年が、青年が、大人が、頭をひねっても頭角を現すのは年に20組以下。しかもそこから本当にヒットするのは年に1~2組が良いところ。ちなみに某バンドオーディションは全国から12000組程度の応募があると小耳に挟みました。応募者だけ、でです。よくバンドマンを恨んでる女子大生をネットで見かけますけれども、みなさん安心してください。ノルマンディー上陸作戦より生存確率の低い戦地に彼らはいます。放っておきましょう。死にますから。
じゃあKANA-BOONのように、奇跡的な倍率を突破して飯を食えるレベルまでのし上がったバンドたちには共通して何があるか。そりゃ、色々ありますけど一番わかりやすいのは、キラーチューンです。必需。
5000万再生て、そんなに押したら再生ボタン壊れるだろ。
「大阪にはミナミホイールというフックアップがあって新人バンドには恵まれた環境が整っている」
「演奏力も下積みもあり、地の力も十分だった」
そりゃもう、それも確かにそう。だけれど関西のバンドが軒並み全部売れたわけでもなければ、感動するくらい演奏上手いのに売れないバンドなんて本当にいくらでもいくらでもいる。じゃあ何が違ったか?って完全にこの一曲。ないものねだりです。ていうかないものねだりしか知らないっていう人も少なくないでしょ。
1アルバム中の楽曲の顧客満足度を点数にしたときに、平均点85点を叩き出すバンドよりも。MVにする一曲だけ100点で残りが30点以下のバンドの方が絶対売れる。売れることが正義ではないにしろ、事実として売れるんですわ。
でもそれが1曲だと「一発屋」という言葉もあるように、どんなにヒットしても寿命が短かったりするわけで。今売れてるバンドは全員2曲以上ヒットを、キラーチューンを飛ばしていると思うんです。KANA-BOONならこれ。
2曲あると盤石。そう簡単に人気が落ちなくなるなと。
じゃあそれを満たしているのにKANA-BOONは何で?クリープハイプとかKEYTALKとかフォーリミみたいに人気が持続しなかったのか。なぜ。
もうファンの方に住所突き止められて刺される覚悟で言いますけど。それはもう、顔だと思います。
顔
さっきあげたバンド、もしくはそれに準ずるバンドが抱えているファンと、KANA-BOONのファンの違いって、半恋愛状態に陥っているかどうかしかないと思うんですよ。
どのバンドもメインターゲットは十代女性なんだけれども、十代なんていうとまだ自我が芽生えてない、意識朦朧、知的な犬、ぐらいの知性の生物なのでモノの判断を下半身に任せます。本当です。
ファンはバンドの鏡。僕はバンドを見るときにファンをジィっと見るようにしてるんですけど、やっぱり最近の売れてるバンドのファンって女子層がメインで「尾崎さん…八木くん…はぁ…尊い…」というコンテンツの楽しみ方をしている方が非常に多いんですね。まあ、男なんか10代から50代まで全員鳳かなめの動画再生したことあるんだからそれより全然マシだけど。
KANA-BOONに関しては、そうですね。鮪くん非常に関節技をキメ辛そうな屈強な体型をしてますんでバンドファン層にウケづらいデザインだと思うんですよ。
鮪、めしだ、ガチ恋勢もいることにはいたんですけどね。やっぱり顔って恋愛において大事なんですよ。「美人は三日で飽きる」とか言いますけどブスは三秒で殺したくなりますしね。美人もブスも恋にさえ落ちてしまえば普段見た目に対して何も思わなくなりますから、付き合った後の感触なんかはそう大差ないんですけど、ふとした瞬間に「あ、かわいいな」っていうプラスポインツが入るのと「寝顔が羅刹」とマイナスポイントが入る。そういう差異が生まれてくるわけです。そして何かの拍子に冷めるきっかけにもなり得る。これが恋人でなく、会ったこともない憧れの偶像だったら、ほか(義勝とか)に目移りしちゃうことも珍しくないと推測します。
俺はクイックブレーダーじゃないんであんまり顔面ばかり殴るのもどうかと思うので、もう一つだけ原因じゃないか?という説を起案すると、カリスマ性の低さも問題あったんじゃないかと。
「バンドマン格付けチェック」とか企画やってたじゃないですか。こういう悪ふざけって彼らがファンにとっての憧れのスターである意識をガリガリと削ぐんですよ。
かたや尾崎くんとかは「祐介」とか言って本出してたじゃないですか。こういう行動はバンドのカリスマ性をグッと上げるんですよ。
底を見せちゃいけないんですよ。スターって。常に「常人とはDNAレベルで違うよ」っていう雰囲気を出してないといけない。ツイッターでわかりやすいウケ狙いをすればするほどカリスマは首をもたげていく。リツイートよりも大切なものを失っていく。売れてるバンドマンほどツイッター意味不明ですからね。話しても意味不明だけど。
顔面と、カリスマ。
それがメジャーバンドの人気持続に必要な条件だと。
KANA-BOONに再起があるとしたら、もう一発、とんでもねえキラーチューンを叩き出して、次は「尊さ」を持続させることなのかなあと外野からは勝手なことを思います。
それでは~。不倫はだめだよ~。