何をいまさら大騒ぎし始めた、ハイレゾ音源 ~前編・ハイレゾ音源とは何か?~
音楽ファンのみなさん、こんにちは。
ハイレゾ音源というのをご存知であろうか?
ピュアオーディオ教、音質原理主義者たちの間では「ハイレゾ音源なんて興味ない」と口を滑らせてしまった日には最後、破門にされるならまだいいほうで下手すると異端者として火あぶりの刑に処せられる危険性まで孕んでいる危険な音源がハイレゾ音源である。
まあざっくり言うとCDより音質のいい音源ということになるのだが、最近すごく流行っている、流行っているというかゴリゴリに押されている。エイ〇ベッ〇クスに負けずとも劣らずのゴリゴリ具合だ。
私はハイレゾ音源がゴリゴリに押されているのをみて、何をいまさら騒ぎ始めたと思っている。
ハイレゾの仕組み、定義 ハイレゾって何ぞや
まぁとやかく言い始める前にハイレゾ音源というものについて明らかにしておこう。
ハイレゾは"high resolution"の略であり、日本語にすると高解像度音源ということである。そしてそのハイレゾの定義というのは至極シンプルで単純にCDより高音質であるということである。
すげーシンプルである。
そういった事情もあり、ハイレゾ音源というのはCDより音質の良い音源全般を指す言葉であり、CDより高音質であればフォーマットは問わないのである。
では実際にはどのようなフォーマットがあるのだろうか。
現段階でwav及びflacのPCM方式とDSD方式の二つに大別することができる。
このPCMとDSDというのは音楽をデジタル化する時の方式の名称である。
音楽をデジタル化!?
まずは音をアナログに変換するところから見ていこう
というよりそもそも音楽を何かに保存するということから説明しよう。
一番わかりやすいと思うのがアナログ媒体であるレコード盤だ。
触ったことがある人ならわかると思うが、レコードは表面に溝がついている。
レコードを再生するときはその溝に針を乗せてまわすと音が出る。溝が細かい空気の振動の形になっていてそれを針が拾って増幅し、音になるわけだ。
この場合だと空気の振動を溝に置き換えるわけで、音をアナログで保存したといえる。
デジタルでも基本は一緒
デジタルの場合も基本は一緒で振動の形=波形をデジタルで記録するだけの話である。
だがアナログの場合は物理的な”形”として保存できたわけだが、デジタルの場合は突き詰めると0と1で波形を記録しなければならない。
おっけーじゃあPCMとDSDの説明に移ろう。
とは言ってみたものの音をデジタルで保存するときの仕組みを理解するのは少し難しい。
突然”PCMは時間軸を44.1kHzのように表し、それが高域の限度を決めている。bit数はの音量を時間軸ごとの音量を示す。”とか言われても理解できる人は少ないであろう。
今回はPC上での画像データに例えて説明する。
デジカメの写真とフィルムカメラで撮った写真は何が違うかわかるよな?
デジカメの方はデジタルで、写真を拡大していくと細かいドットが集まって写真が出来ているのがわかる、反対にフィルムのカメラはどこまで拡大しても”拡大された写真”のままである。
デジカメの拡大していくとドットが見えてくる画像方式をビットマップ画像(ラスタ形式)という。
これがPCMだぁ!!!!!
先ほどの音楽のデジタル化の方式として紹介したPCM方式は画像で言うところのビットマップ画像にあたる。
音楽の場合は波形を時間軸を横軸、音量を縦軸とする波形をデジタルで記録するのだ。
PCM方式では横軸が44.1kHzで表すサンプリング周波数であり、一秒間をどれだけで割って記録するかということである、44.1kHzであれば半分の22k=22000回に分けて保存するということである。22000回である、音楽すげえ。
そしてbit数でその22000回に分けた一個一個の音量を決める。16bitなら2の16乗=65,536段階で記録する。そうすると波形が完成するわけだ。グラフで見たほうがわかりやすいと思う。著作権的なもんがあるので直接引っ張ってこれないが、サンプリング周波数でググればわかりやすいグラフが出てくるはずだ。
あとあれだ、サンプリング周波数の大きさによって記録できる高域の最大値が決まる。音の高さについてはこちらの記事でコッテリ説明したので参照してもいいかもしれない。
まあ要するに音の高さって言うのは波形の細かさであり、解像度が低いと高域まで再現できないということなんだ。
じゃあDSDってなんなんだよぉーー!!!!???
先ほどPCM方式をビットマップ画像だと説明したが、DSDを画像形式で例えるとドローイング系画像(ベクタ方式)に例えることが出来る。
ドローイング系の画像を説明するのがだるいのでwikipediaを引用しよう
ベクタ形式(ベクタけいしき、vector graphics)は、2次元コンピュータグラフィックスをコンピュータ内部で表現するデータ形式の代表的な2つのうち1つ。しばしば、走査線の集まりで表現するラスタ形式(ビットマップはその代表例)と対比される。
「vector(ベクトル)」は方向と大きさを持つ量だが、図形処理では「方向と距離」がそれに当たる。線の起終点の座標(位置)、曲線であればその曲がり方、太さ、色、それら線に囲まれた面の色、それらの変化のしかたなどを、数値で表す。
なるほど!そういうことね!ということはDSDは波形をベクタ形式のような形でで保存するということなのか!
わかってくれた人はぞれで良い、わからなかった人はググればベクタ方式のわかりやすい説明が見つかるはずだ。
ベクタ方式がわかればDSDはそれの波形バージョンなのですぐにわかると思う。
よし、音楽のデジタル化の方式は理解した!じゃあ何がどうなれば高音質になるんだ?
良い質問だ。
PCM方式の高音質化は至って単純である。
先ほどの横軸と縦軸をもっと細かくとってしまえばいいだけの話である。
例えばハイレゾ音源では96kHz、24bitになれば、横軸は大体二倍になり、縦軸は2の2416,777,216段階にもなる。
こんだけ細かく取ればかなりもとの波形に肉薄してくるはずである。ハイレゾ音源すげーもんな気がするぞ。
DSDの場合は少し厄介である。というかそもそもDSDで保存した段階で高音質なのである。
今更何を騒ぎ始めた?ハイレゾ
ここまで書いておいてハイレゾ、なんかすごそうだし、新技術でも使っているかと思っている人も多いだろう。
答えはノーだ。新技術は使ってはいない。
後編に続く