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残田 響一

2016/01/22

記事

イントロ30秒でリスナーを殺せないあなたの楽曲

ゆたきち氏のフィッシュライフの記事でこんな記述があって、今更のように「ああ……」と思う筆者。

とにかくイントロで勝負しに来たなって感じでかっけぇ
聞く人からすれば「いつものショートディレイのリフじゃん」だけど
出処20秒のところのスタートダッシュ感はワクワク感が溢れてると思う。

では、全くの無名バンドで、以上のような「イントロ30秒で殺せない(=ツカめない=勝負かけない)楽曲」がYOUTUBEやニコニコ動画でどのような扱いを受けるだろうか。

 

今の時代、開始(イントロ)30秒で殺せないとすぐ離れていく。

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ようはツカミの話だ。お笑い芸人の話かっつうとこだけど、これ読んでるあなた……バンドマン。「あなたがリスナーだったら」どうする? 率直に聞くぜ。

日ごろの限り有る時間、ちょっとしたときにYOUTUBEで適当にいろんなバンドを試聴してみようとして、「開始30秒までで”おっ”と思えない曲」をそれ以上聞こうと思うかい?

「俺は、俺はきちんと聞くぜ! 音楽が好きだからな!」

というバンドマン。……ほんとか? 内心、ちょっと「タルいな……」「ちょっと早送りしてみるか」ってしてない? してない人間だけ今の発言は言ってくれ。汝らの中で罪を犯したことのない者だけが石を投げよ。

今の時代、音楽は溢れている。で、全くの無名バンドが人をツカもうと思った場合、「最初から退屈させていて」はダメなのだ。最初からシゲキビリビリにさせないとダメなのだ。

出し惜しみをしてはだめだ世界観を大事にしようとして、イントロを押さえようとする気持ちは分かるよ。

だが、ぶっちゃけ時間にして2:30を過ぎたあたりでようやく音楽のうまみがわかってくるような楽曲は、今のリスナーは我慢がきかない! さらに言うと、最初のイントロ30秒で何らかの世界観が伝わってこないような楽曲は、聞き手側からすると機能不全を起こしているといってもいい!

じゃあ、最初の30秒で殺している楽曲って? これは以下のようなものを挙げてみる。

ド定番が逆に新しい。イントロと1stフレーズだけでもう脳内に刻まれてしまう。好みとかそういうのはもう別にして。

なんだこのガラス切るようなギター……? と疑問に思わせた時点でヒトリエの勝ちだ。これが「ツカむ」ってことだ。

最初から「な、何が起こってるんだ!!?」という活火山のようなギター。出し惜しみなし! つまりこういうことだよ、兄貴!!

 

あなたが思っているほど、世の中のひとはあなたに興味がない

 

これが大事だと思う。

正直、ぽっと出の新人のことなど構っていられない。そんな暇あったら今度出る凛として時雨とかThousand Eyesの新譜トレイラーリピートする、イントロからしてすごかったから。

世の中のひとは、新規開拓、ということをしない。時雨とかThousand Eyesはもう実績を作ったひとたちだ。こういうひとたちは、その実績ゆえにもっと聞かれる。富めるものはもっと富んでいく、というのがこの世のルールだ。

 

 

じゃあなんで、世にはイントロで殺さなくても、良い楽曲があったりするの?

 

(1)まだ昔、牧歌的だった時代は、音楽をある程度まで聴く文化があったのだよ……

悲しいかな、今はそうではない。どんどん時代は早くなっていってる。そこまで急がなくてもいいものを……。

「イントロでツカまなくても、良い楽曲」の代表例はプログレだろうか。昔はこういう、一曲10分以上あって、音楽を最後まできちんと聞いて判断するという、皮肉抜きに素晴らしい文化があったのだよ……正直「曲の価値は30秒で決まる」なんて早漏野郎の記事なんてわたしも書きたくないよ……。

この「30秒イントロ」で判断しない、という聞き方は、例えばプログレとか、アンビエントとか、シューゲイザーとか、ダンスミュージックとか、「30秒イントロで判断しない音楽試聴文化」が成り立っているシーンだったら充分アリなのだが、逆にいえば「だからこそこのジャンルは、今のシーンではマイナー」だといえるかもしれない。じゃあこういう音楽が好きなひと(筆者とか)はどうすればいいか。

 

(2)音楽批評がいい記事を書いた

 

これはある意味、音楽webマガジンとして手前味噌かもしれないが、たぶん音楽批評の意味っていうのは、こういうとこにあると思うから。

よく見ませんか? 「○○分までとりあえず聞いてみて!」っていう言葉を使う音楽記事。この地下室TIMESでも実はときどきある。

その結果、開始30秒だけで判断せず、じっくり聞いてみようと思うひとたち。

これが、口コミの力だ。音楽批評の意味は、開始30秒でツカめない楽曲にも、素晴らしい点は山ほどある、ということを伝えることでもある。

インスタントになっていってる時代だからこそ、そういう時代がちょっと変だと思っているからこそ、積極的に「流行のインスタント音楽」だけでない、真の良質な音楽を伝えていくこと。それが……いや、地下室TIMESをわざわざ好き好んで読もうという人たちには、今更ですね。

 

(3)ライヴ!

 

まさかライヴ行って、好きな曲だけ聴いて帰る、ってこたぁありませんよね。

「イントロ30秒で殺す」楽曲が、そのバンドのすべてではない。じっくり聞かせる曲、アヴァンギャルドな実験曲、全部あってのバンドだ。

ライヴっていうのは、そういう意味で「強制的にバンドの曲をいろいろ聴かされる場」といえないこともない。でも、それでいいのだ。そこから可能性は生まれてくる。イヤったらしい書き方をしたが、ライヴで全部を体感して、イントロで殺すばっかりでない深みのある曲に出会えたら最高だ。そこからまた新しい音楽の世界が広がっていく。

 

逆に、だからこそイントロのフレーズを磨こう!

まあ、このご時勢、この「イントロ30秒で殺せない」バンドが、よほどの「文脈」抜きにして、ヒットすることは難しいだろう。そういう時代なのだ。

逆に言えば、「イントロ30秒で殺せ」れば、それが即ちキラーチューンとなる。

だからこそ、バンドは曲のイントロを磨くべきなのだ! 先端が尖ってない、切れ味鋭い日本刀なんてないように。

とにかく聞かせてしまえ、そうすればこっちのもんだ。

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